任意売却というのは制度ではなく、あくまでも債務者と債権者などの合意の上で成り立つイレギュラーな債務整理法なのです。
そして、任意売却を成立させるためには一定の条件を満たさなくてはいけません。
まず、「住宅ローンの滞納」つまり、金融機関や保証会社のブラックリストに記載されることが絶対条件となります。
なぜなら、債権者にしてみれば住宅ローンを払い続けてもらう方が得だからです。
もう一つの絶対条件は、「期限の利益の喪失」になります。
月々のローンが払えない、残債の一括返済も当然できないという状況でなければ、債権者にとって任意売却に応じることにメリットがありません。
債務者が債務不履行によって「期限の利益」を失うことが任意売却の条件となります。
債権者と、抵当権や差し押さえの解除の合意をして、不動産の市場価値を回復(買い主が不利益を被ることがない状態に)することを前提にしなければ、任意売却はできません。
夫婦などの共有名義で不動産を所有している場合、共有者の同意が得られなければ任意売却はできないし、連帯債務者や連帯保証人などの同意を得る必要があります。
売却時に司法書士による意思確認が行われ、関係者の同意が明確でなければ所有権移転の登記申請ができません。
そしてもう一つ、債権者との人間関係が良い状態であることも大切です。
債権者からの連絡などに誠実に対応していなければ、信頼を失い競売の手続きを進められてしまいます。
任意売却には債権者の協力が不可欠で、話し合いに応じてもらえなければ成立しないのです。
固定資産税などの税金や、マンションの管理費・積立金などの滞納額があまりに多い場合、債権者が任意売却に応じないこともあります。